凍結胚移植で早産リスクが上がる理由とは?|ホルモン補充周期・HDPとの関係

不妊治療コラム
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体外受精や顕微授精において、いまや主流となった「凍結融解胚移植(FET)」。

→凍結胚については「新鮮胚・初期胚・凍結胚の違いを解説!」へ

採卵周期の身体を一度休ませ、子宮内膜の状態を整えてから移植できるため、着床率や出産率の向上に大きく貢献しています。
一方で、妊娠成立後に「早産や特定の発症リスクがやや高まる」という医療的なデータや研究報告があるのをご存知でしょうか。

今回は、凍結胚移植による妊娠で知っておきたいリスクの背景と、正しく知って備えるためのポイントを解説します。

凍結融解胚移植(FET)で知っておきたい主な周産期リスク

大規模なデータ分析や研究において、凍結胚移植による妊娠では自然妊娠や新鮮胚移植と比較して、以下のような周産期リスクがわずかに高くなる傾向が報告されています。

  • 早産(妊娠37週未満での分娩)
  • 妊娠高血圧症候群(HDP)
  • 巨大児(出生体重が重めになる傾向)
  • 前置胎盤・胎盤癒着などの胎盤異常

私は主治医から「凍結胚移植で妊娠すると早産リスクが10%上がる」と説明されましたが、

→妊娠初期の産婦人科の初診については「円錐切除術で里帰り出産が不可に?」へ

早産に関しては「凍結胚移植をしたから早産リスクが高まる」というより、「凍結胚移植を行うのがホルモン補充周期のため早産リスクが高まる」ということのようです。(参照)

特に注目されるのは「妊娠高血圧症候群」リスクです。
これらは母体の健康や赤ちゃんの安全に直結するため、妊娠初期からの経過観察が重視されます。(参照)

【解説】妊娠高血圧症候群(HDP)とは?主な症状と発症リスク

妊娠時に高血圧を発症する「妊娠高血圧症候群(HDP)」。
全妊婦の約3〜5%に見られるものです。

主な原因は、妊娠初期の胎盤形成不全による血管の適応障害と考えられています。
特に35歳以上の高齢出産、初産、体外受精(ホルモン補充周期での凍結胚移植)、持病(高血圧・糖尿病など)がある方は発症リスクが高まることが知られています。

初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると頭痛や目がチカチカする、急速な浮腫などの症状が現れます。

なぜホルモン補充周期だと妊娠高血圧症候群・早産リスクが高まるのか?

理由の一つとして、排卵後に形成される「黄体」の働きが注目されています。

自然排卵を利用する凍結胚移植では、排卵後に黄体が形成されます。
黄体はプロゲステロンやエストロゲンなどのホルモンに加え、リラキシンなどの物質も分泌します。
こうした物質は、妊娠初期の母体の血管や循環の適応に関与すると考えられています。

一方、排卵を起こさずにエストロゲンやプロゲステロンを薬で補充するホルモン補充周期では、通常、黄体が形成されません。
そのため、黄体から分泌される物質の一部が不足し、母体の血管の適応や胎盤の形成に影響する可能性が指摘されています。

ただし、これは現在も研究が進められている分野です。
黄体が形成されないことだけで合併症の発症が決まるわけではなく、リスク上昇の仕組みがすべて明らかになっているわけではありません。

凍結胚移植後に妊娠した場合は、移植周期の種類も踏まえながら、主治医と妊娠中の管理について相談していくことが大事なようです。

【体験談】不妊治療クリニックを卒業し「妊娠後のリスク」に目を向けるまで

不妊治療クリニックを卒業して産婦人科へ行くようになってから、初めて知ることがたくさんありました。
考えてみれば当たり前で、不妊治療の段階では「妊娠するかどうか」を注視するため、妊娠後の様々なリスクが意識上では後回しになりがちです。
ここからは高齢出産のリスクに向けて、知識を得たり対策をしていく方向へ切り替える必要があるのだと思いました。

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