胚移植を終え、フライング検査やクリニックの血液検査で一度は陽性反応が出たものの、その後胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が確認できる前に生理が来てしまう。
これが化学流産です。
一度陽性を知った分ショックも大きくなってしまいます。
化学流産はなぜ起こるのでしょう。
悲しい事態も、詳しく知ることで乗り越える一助になるかもしれません。
化学流産はなぜ起こる?主な原因は染色体異常
化学流産という言葉には「流産」とついていますが、医学的には通常の流産とは異なります。
妊娠反応が陽性になったものの、超音波検査で胎嚢が確認される前に妊娠が終了する状態を指します。
最大の原因は、受精卵(胚)の染色体異常です。
受精卵が子宮内膜に一度はかすった(=着床しかけた)ため、妊娠ホルモンであるhCGが分泌されて検査薬は陽性になります。
しかし、受精卵自体に育つ力が備わっていなかったために、それ以上成長できず、結果として生理と同じような出血が始まります。
つまり、お母さんの動きすぎやストレス、仕事の負担などが原因で起こるものでは決してありません。卵が持つ「生命力の運命」によるもので、現代の医学でも防ぐことができないものです。
化学流産が起こる確率と「検査薬」の関係
化学流産は、特別なことではありません。
健康な若い男女であっても、全妊娠の約10〜20%で起こっていると言われています。
化学流産自体に気づかず「少し生理が遅れたな」と見過ごされていたケースがほとんどでした。
しかし近年、不妊治療の普及や、市販の妊娠検査薬の性能が向上したことにより、本来なら気づかなかったはずの「ごく初期の着床」まで知ることができるようになりました。
フライング検査を行う人が増えたことで、結果的に化学流産を「知ってしまう」機会が増えたのが現状です。
体外受精や顕微授精でも化学流産の可能性はある?
体外受精や顕微授精で見た目が非常にきれいなグレードの良い受精卵を移植した場合でも、化学流産を避けることはできません。
化学流産の主な原因は、受精卵そのものが持つ染色体の数や構造のエラーです。
これは、精子や卵子が作られる過程、あるいは受精の瞬間に偶然発生する「自然淘汰」の仕組みです。
見た目のグレードが良くても、染色体に目に見えないエラーがある場合、着床後にそれ以上細胞分裂が進まなくなります。
化学流産を経験したときに知っておきたいこと
化学流産はとても悲しい経験です。
しかし不妊治療の観点においては「決して無駄な経験ではない」と捉えられます。
なぜなら、「受精卵が子宮内膜に着床できる能力があること」の証明という見方もできるからです。
不妊の原因が「かすりもしない(着床障害)」のか、「着床はするけれど育たない」のかを知ることは、次回の移植に向けた大きな判断材料になります。
不妊治療をする前は「化学流産」という言葉も知りませんでした。
初期流産の主な原因が染色体の異常ということも同じく知りませんでした。
「ママの行動のせいじゃない」とわかっていても、やはり流産は辛い経験です。
知識を得ること、次になにをするか方向性を決めること。
そういったことが心の傷を深めるのを避けられると信じています。


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